2005年 03月 07日
◆季節がとうとう春めいてきた。やれやれやっと冬が終わってくれそうだ。ここ1、2ヶ月、自宅ではほとんどソファにへたりこんでいるという実になさけないありさまであった。あとひと月もすれば桜は満開だ。よし今年も花見ができそうだと嬉しくなる。 しかしながら、本日鑑賞のビデオは凍てついた極北の寒冷地が舞台だ。 ◆2000年ノルウェー映画。ノルウェーの映画ははじめてである。極北フィンマルク地方の一合唱団のドキュメンタリー。かつて合唱団といえば、ウィーン少年合唱団が著名であったが、これは過疎の漁村におけるじい様合唱団である。フィヨルドの美しい景色あるいはオスロやヴェルゲンの都会風景があるわけでなく、ドラマチックな展開もない。ただ北極海の荒々しい波と真昼の沈まない太陽があるだけ。淡々と合唱風景と団員の肉声が交互に映される。見ようによっては、退屈極まりないかもしれない。 ◆団員の最高齢はなんと96歳、それでもいまだに車を運転している。「おっと人がいた」なんて危なかしいことこのうえない(笑)。冬は一日中暗く、夏はずっと明るいまま、そしてラストの合唱シーンではじいさんの滴った鼻水が凍っている。気が狂いそうな苛烈な自然である。役場?は精神分析医の紹介コーナーまで設置している。 こんなところでは、なにか愉しみをみつけないとやっていけない。「防波堤と合唱団がなければとても生きられないよ」と語る団員、つくづく人間の逞しさを教えられる。 ◆変化といえば、隣国ロシア、ムルマンスクでのコンサートに招待されたこと、国境を越えて一転、草木もない荒涼たる風景に「ベルレヴォーグに居てよかった」の声、傷みがはげしい鉄筋の建物、あるのは戦勝記念のバカでかい兵士のモニュメント、ロシアの光景はもっと寒々としている。いったい共産主義ってなんだろう。それに比べてノルウェーはわずか450万人足らずの人口小国であるが、ノーベル平和賞などたしかな存在感がある。日本では将来の少子高齢化社会を懸念する声しきりであるが、なに、このノルウェーの人々をみればよい。 ◆恥ずかしながら、この映画ではじめて知ったこと。 ・ノルウェーとロシアが陸続きであること、地図をよくみれば極北地方ではたしかに国境を接している。これまで知らなかった。 ・第二次大戦中に空襲を受けたこと、ある団員の実兄はそれで亡くなったそうだ。ところで、空襲したのはナチスドイツかそれとも連合軍なのか。 あと本編に入る前にえんえん15分間も予告編がつづくことも勘弁してほしいものだ。 ◆別のはなし ソニーの経営最高責任者(CEO)が交代するとのこと、後任はイギリス人である。企業経営のグローバル化をつくづく実感するが、その先鞭をつけたのはさすがというべきか。
by chaotzu
| 2005-03-07 20:42
| 外国映画
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