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マイ・ラスト・ソング

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2005年 07月 14日

【DVD】「社長太平記」 かつては社長がいちばん偉かったのだ

◆昭和の30~40年代、会社では社長がいちばん偉いひとだった。だからキャバレーにいくと、みんな“シャッチョーサン”と呼ばれてゴキゲンだった。ところが、元気な年寄りが増えるにつれ、会長とか相談役が大量発生して、必ずしも社長=ナンバーワンとはいえなくなってきた。その端的な例がユニクロで、こんどオーナー会長が社長のくびを切って自ら社長も兼務するそうだ。まあよく分かりませんが、会長=昔の社長、社長=昔の専務だったのかと思わぬでもない。
加えて大企業では、アメリカ流企業統治の真似で、CEO、COO、CFO、CTO、CCOなんかの化学式みたいな英文字役職がすっかり大流行りである。なにせ「C」と「O」の間に適当な英文字を挿入すればよいから導入は簡単だ。もしかしてC3POなんかもありかもしれん(笑)。
具体的には会長兼CEOとか社長兼COOみたいな使い方をするようだが、正直云って、目くらましみたいに化学記号をぶらさげて喜んでいるようにみえぬでもない。
まあ責任逃れ用脱ぎ捨てポストとしての意味はあるかもしれないけど。
やっぱり、昔のように、社長が偉い、これがいちばんシンプルかつ明瞭だと思う。東宝の社長シリーズをみればよい。一目瞭然である。だいいち、シーイーオーじゃお座敷芸はできないし、キャバレーで呼ばれてもうれしくない。森繁CEOにのり平CFOなんてことになったら、会社は盛り上がらず、たちまちつぶれてしまいそうだ。
【DVD】「社長太平記」 かつては社長がいちばん偉かったのだ_b0036803_22262152.jpg◆1959年東宝映画、モノクロ。この社長シリーズ、おそらくテレビでかなりみているだろうが、もうすっかり忘れている(笑)。
森繁は婦人下着メーカー“錨商事”の二代目社長であるが、なお会長の母親が健在である。
なんか連想する、そう新田たつおの漫画“静かなるドン”の設定をひっくりかえしているみたいだ。おまけに敵方は大阪の“さくら商会”で、ことごとに張りあっている。これも似ていないこともない。もちろん、勝手に連想しただけである、なんの関係もありません(それにしても“静かなるドン”まだ続いているようだが、ネタ切れでよくひっぱっているもんだ)。

◆漫画のほうは新撰組が下敷きになっているが、この映画では海軍である。海軍在籍時の階級と会社での地位を逆転させている、そこをコメディのキモにしている。
海軍で三等兵の森繁が社長、鬼軍曹と怖れられた小林桂樹が専務、そして艦長だった加東大介が庶務課長である。だから、ときどき専務が社長に“貴様~っ”と怒鳴りつけたり、庶務課長が社長専務に“起立~”と号令かけたりの珍現象がおきる。いわば太平を貪る社長に、軍隊時代の上司である部下(ややこしいなあ)が喝をいれるはなし。あと、サイド・ストーリーで小林専務のラブロマンスがある。
◆モリシゲ社長、朝礼の訓示で“日の本は~、岩戸神楽の昔より、女ならでは夜の明けぬ国”
真面目くさって読み上げている。のん気なものである。社長室では三木のり平部長がヌーブラみたいな新型ブラジャーを自ら試着してお披露目しているが、みな気味悪がっている。そりゃそうだ(笑)。しかし、女性の下着会社ってなんだか愉しそうだなあ。
◆メモ
・お気に入りのバー“熊ん蜂のパーテイ、くま子マダムの差配でおじさん連中がフレンチカンカン。森繁、小林、のり平、有島一郎の4人が脚の上げ具合を競うが、有島一郎がいちばん高く上げている。この人の足芸はもともと有名らしい。
・海軍キャバレー?当時流行ったらしい。飲み物等配膳するときは出港用意のかけ声、BGMは軍艦マーチであり、水兵姿のダンサーさん。ほんとにあったらしいが、まるで知らない。稀少風俗のトリビア知識を得られるのが、こういった映画の値打ちだよなと自分に云い聞かせる。

by chaotzu | 2005-07-14 22:30 | 日本映画


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