2005年 08月 03日
◆かねて懸案であった「盗難等カード被害補償法」が本日参議院で可決、成立した。 半年間の猶予期間を経て来年の2月に施行される。これで預金者保護としては一歩前進であって、われわれ預金者の立場としてはやれやれである。 しかしモノゴトにはなんでも両面があるもので、金融機関のほうにしてみれば、新しい犯罪リスクにさらされることになるだろう。 ◆ウソの盗難をでっちあげることによる補償金の取り込み詐欺である。 誕生日や電話番号を暗証番号にしていたような軽過失があったとしても、被害の75%まで補償される、悪巧みする奴からすれば実においしい儲け話になりうる。 ATMによる引き出し限度額が1日1百万円であったとしても過去30日まで補償されるから、最高30百万円の被害としてその75%でも2250万円だ。 ダミーになる人間を探してきて「善意の預金者」に仕立て上げればよい。目先のきく暴力団員にすれば、かっこうの新商売になるかもしれない。 だから、大量の現金持ち込みで口座開設を急ぐ新規客なんかは警戒されるだろう、昔ならば上客だろうが、世の中どんどん変わってくる(笑)。また、連日にわたり限度額いっぱいの引出しがある口座はたちまち監視対象にされるだろう。 しかし、どんな予防手段を講じたとしても、金融機関の職員が加担する場合もないとはいえない。なにより、金融機関自らの裏金づくり等不正行為の手段にもなりうる。こうなるとモラルハザードのきわみであるが、防ぐすべはない。 ◆すでに金融機関の側もいろいろ対抗策を検討していることだろう。 しかしながら、基本的に4桁の暗証番号だけでもって本人確認するシステムそれ自体が、陳腐化あるいは既に破綻しているということではないのか。 生体認証方式など、新しいカードの更なる導入を急ピッチで進めるべきだろうが、なにより、ATMという無人化システムそのものが、便利なようにみえて犯罪を誘引する仕掛けになっている。高齢化社会を踏まえて有人窓口をもっと見直してもいいのではないか。
by chaotzu
| 2005-08-03 21:32
| 時事
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