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マイ・ラスト・ソング

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2005年 10月 18日

まるで子供外交

◆懲りないコイズミさんがやってくれた。秋季例大祭の初日に靖国参拝である。この前の大阪高裁の「違憲」判決を参拝見送りの口実にすればいいのにと期待していたのだが、まったく意固地になっているとしか思えない。総選挙で大勝して300議席近くも獲ったのだから、こういうときこそ、大人感覚であってほしいのだが、最後まで人気取りのいいカッコしいを通したいのだろうか。外圧に屈しないコイズミ・イメージにこだわっているのかもしれない、しかしそんなのBSE牛肉でとっくにボロが出ているじゃないか。
まるで子供外交_b0036803_0191246.jpg何度も云うが、国民の総意でないことを国民の代表者面をしてやってほしくないのだ。今日の日本の礎となったのは、なにも戦争で亡くなった兵士だけではない。空襲や原爆で死んだ市民、沖縄戦の犠牲者島民、満州の土になった開拓農民もそうだ。戦闘行為だけではなく餓死したひと、病死したひともいる。みんなそうだ。戦争で亡くなった人に変わりはない。おまけにA級戦犯に対する複雑な国民感情もからんでいる。だからこそ、今上天皇も靖国には参拝していない。まして、権力者がなす行為は「心の問題」で片付けられるものではない。どうしても行きたいのであれば、総理大臣を辞めてから好きなだけ思う存分参拝すればよいではないか。
また、前述の高裁判決を意識してか「簡易参拝」で済ませたらしいが、表面だけ取り繕ってもみっともないだけである。なるほど、いま外務事務次官が訪中しているのは「簡易参拝にするからどうか理解して頂戴」のメッセンジャー役だったのか、それで待ちぼうけを食らわされたとしたらいかにも惨めなことである。なによりれっきとした法治国家の為政者が裁判所の判決よりも個人的信条を上位におくさまを、子供にもみせている。
これではやり放題云いたい放題の「辞め逃げ」になってしまうだろう。

◆それにしても、首相が意地で続ける靖国参拝、国民にとってなにか利益があるのだろうか。中国や韓国との外交も当面機能不全におちいるだろう。拉致問題の解決や東シナ海のガス田開発問題はどうなるのだろう。APECの首脳会議や東アジアサミット、日韓首脳会談も予定されている。地政的にみてどう考えても賢いやり方にみえない。普段から近所づきあいのよくない隣人に、わざわざ「ファ○ク・ユー」と挑発して得意満面で快哉を叫んでいるようにみえてしまうのだ。
“外国の干渉をはねつけてかっこいいじゃん”
“いつまでも文句たれるのはうざいんだよ”
ガキの時分ならば、こんなレベルのつきあいもありかもしれないが、とてもプロ政治家のする外交ではない。ところがまさしく、それをやっている。これでは外務省アジア太平洋州局の役人はほんとうに子供のつかいにならざるを得ないだろう。
云いたいことがあれば堂々と主張することは当然のことであって、冷静に議論を重ねていくべきであるのに、なんの得にもならず逆に揚げ足をとられそうな自慰外交に突進することはどうみても感心できたことではない。
案外、中国や韓国のなかには喜んでいる連中がいるかもしれない。自分の国のボロ隠しを意図する権力者にとって、「仮想敵日本」の燃料を供給してくれるコイズミさんの行為は真に有り難い援軍になる。早速宇宙ロケットの帰還にからめて「重大な挑発行為」とまで言い出している。神舟6号となんの関係があるのかムチャクチャな理屈であるが、腹に一物ある相手にすればかっこうの好餌をばら撒いたようなものだ。

◆当のコイズミさん、郵政法案の可決に際しては、さかんに国民が拾いあげてくれた、国民の支持があればこそとぶちまくっている。ところが、都合によっては、世論なんか歯牙にもかけない政治家なんである。

[平成16年11月26日]
参議院 イラク人道復興支援活動等及び武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会

○若林秀樹君(民主党参院議員)
 (前略)国会における議論とか国民世論の動向を本当に踏まえているのかなと。少なくとも、最近の世論調査を見れば六割ぐらいが反対でありまして、まあ賛成しているのはまあその半分、三割、昨日の日経では二五%ということになりますけれども、国民世論の動向を踏まえればという意味はどういうことなんですか、この意味において。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 あるときは国民の世論調査がすべて正しいとは私は思っておりません。それは、国会の議論、国会議員の議論、総合的な情勢、すべて勘案してやっていかなきゃならない。世論調査の支持がすべて正しいとは思っておりません。

by chaotzu | 2005-10-18 00:29 | 時事


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