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マイ・ラスト・ソング

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2005年 12月 11日

シャッター商店街と道路特定財源

◆田舎に住む叔母は70歳をとっくに超えているが、いまだ元気なもので、車を運転してどこへでも出かけている。もっとも、目はだいぶ衰えているようだから、当方はあまり同乗したくない(苦笑)。本人曰く、田舎では70歳代の現役ドライバーなんて珍しくない、80歳代のドライバーもいるそうだ。
しかし、年寄りが車を運転することについて、周りは心配で気を揉んでいる。だから、どこへでも車で送ってあげるから、もう運転はやめたらどうかと示唆したりする。するとモーレツに反論される。車が運転できないと自立した生活ができなくなる、それはイヤだと口をとがらせて云う。たしかに、免許とマイカーさえあれば、嫁や孫に頼らず自由に外出できる。車に乗れなくなったら一日中家に干乾し状態で、いっぺんに呆けてしまうかもしれない。それほど、地方では車が必需品になっている。徒歩圏内の利便施設なんてほとんどないうえに、商業圏は郊外に移りつつある。どこに行くにも車が要るのだ。加えて都会に比べて鉄道やバスの便が少ない、1時間に1本すら運行していない。そして新幹線が開通するとおそらく在来線は死に絶えるだろう。つまるところ、足腰が達者な若者以上に、年寄りのほうが車への依存度合が切実である。
いずれ、団塊でやってくる超高齢ドライバーへの免許更新是否が社会問題になるだろう、いや今頃になってやっと認識したのか、問題認識が遅れすぎだよと笑われるかもしれない。

◆大都市圏に住んでおれば分からないが、地方の既成商業地のさびれようを目の当たりにすると愕然たるものがある。シャッターが下りたままの店舗が延々とつづく、「貸店舗」の貼紙がいたるところにみられる。これをして「シャッター商店街」というらしい。では、その代わりの商業供給源はどこにいったかというと、郊外の大規模ショッピング・モールにごっそり移っている。コアになるスーパーを取り囲むように、家電、書店、おもちゃ、メガネ、古本、紳士服などの専門店が謂集する。ファスト・フードほか食堂施設もあるし、民間の診療所まである。要するに何でもそろっている。もっと大きくなると映画館(シネコン)やゲームセンターまでくっついてくる。家族で丸一日過ごせそうである。“あれ、街より便利やんか”と思ってしまいそうだ。
いまや地方では、そういう大規模モールの広域競争時代に入っているらしい。新幹線と高速インターがまちの有様を根っこから変えているといってもいい。ただし、車に縁のないひとはなかなか行きづらい。たいていが既存の交通機関との連絡がない町外れに立地しているからだ(シャトルバスはあっても駅前まで行かねばならない)。この間までレンコン畑だったところに、その地域の中心的商業施設が突然誕生したりする。広い駐車場があるだけではない、店自体の目新しさもあるからみんなこぞって行く。そして、目端のきいた既存商店主は新しいショッピング・モールに出店していくから、町の中心はどんどんさびれるいっぽうになる。地方では「駅前○○」なんてもうほとんど死語同然だ。そして、将来そのモールが撤退するようなことになったら、ゴーストタウンしか残らなくなる。そんな懸念もある。

◆道路特定財源の一般財源化、喧々がくがくいろいろ揉めた、まだ紆余曲折あるかもしれないが、なんとか目処ついたようである。コイズミさんには毎度批判的であるが、この件だけは賛成したい。
それほど、車社会がいきすぎている。ワタシもペーパードライバーであるが、日常ちょっとした用件でも車が要るというような生活はたいそうでかなわない、なにより、地方に住む大勢のお年寄りが実質棄民扱いされかねない、年をとれば地方に住めなくなるそんな社会は異常である。地方の人口が減ることは自動車業界の利益にも適わないだろう。なにより化石燃料の消費も抑制しなけれぱならない。
暫定税率を維持するということであるならば、その分は中心市街地の再建費用やバス交通への補助に回してほしいと思う。老若男女の人間がこぞって住めるまちをなんとか残していきたい。

by chaotzu | 2005-12-11 21:25 | 時事


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