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マイ・ラスト・ソング

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2005年 12月 22日

ニッポンをぶっ壊しました

◆昨日のエントリー「コストカット」のはなしをつづけたい。
いまの日本でいちばんありふれたコストカット手段は、社員を安月給で長時間働かせることによる人件費の切り下げである。最近は労働組合が形骸化しているから、三六協定それがどうしたてなもんである。また労働関係の規制緩和がそれに拍車をかけた。木村建設のシノヅカ氏ではないが、
“代わりはいくらでもいるんだ”
が大手をふってまかりとおっている。それで
“うちは少数精鋭主義でやってますから”
なんて、得意然とのたまう経営者がいたりする。そんな経営者にかぎって、明け方社員がトイレで倒れて亡くなっていようが、鬱病を発症する社員がいくらいようが平気である。病気で休職しようものなら直ちに解雇することもためらわない。だから、そういう企業の社員はみんな有給休暇を使わない、病気になったときに備えて貯めておくもんだと思っている。

◆最近問題になっている人殺し暖房機に発火洗濯機など「一流メーカー」による欠陥商品、これらに通底しているのは、目先の設計変更をやたら繰り返すいっぽうで、必要な人件費コストをけちって、モノづくりにかけるプライドを薄れさせてしまったことにあるんじゃなかろうか。航空機の整備不良問題についても、同類項の発想がきっとあるのだろう。コストカット(表向きは経済効率という)がなにより全てに~人命よりも健康よりも優先する社会にしてしまった。そのいきつく先が、ソーケンなりオジャマモンの姿である。そして、これらの風潮は、コイズミさんが首相になり「改革」をやたら連呼するようになってから、加速しだしたと思うのである。
嘘吐きウチカワさんや開き直りオジャマモンの一派は「経済設計」と称してバッタモンの脆弱なビジネスホテルやマンションをたくさんおっ建てたが、コイズミさんは「構造改革」と称して、この国全体の基礎構造を弱くしているのじゃないか。詭弁にすり替え、開き直り……モノの言い方も、「偽装一派」と実によく似ている。

◆4年前の自民党総裁選に立候補したコイズミさん、「自民党をぶっ壊します」と絶叫して世間の快哉を浴び、とうとう総理の座を射止めた。ところで自民党はぶっ壊れたのだろうか。とんでもない、総選挙で圧勝したいま、やりたい放題になっている。アホな党首を抱えた野党は凋落し、検察・警察も手なづけて前より強大になっているぐらいだ。あるいは旧い体質の自民党をぶっ壊したのだという見方もあるが、ワタシはそうは思わない。たしかにかつての田中派の流れを継ぐ旧橋本派はぶっ壊したかもしれない。なにしろコイズミさんが政界入り当時師事した福田派以来の怨念の敵である。その仕返しを果たしたことはたしかだろう(それも角栄の実娘のアシストによってである。政治の世界というのはまことに面妖なものだ)。それで、旧橋本派=現津島派はみるかげもなくなった。だけど自民党のDNAたる利権体質は未だ温存されており、旧橋本派がもっていた土木建設利権を森派が侵食していっただけではないのか。いまや大問題になった建築物の強度偽装事件、建設利権の受け皿が森派に移行していくさなかで起きた、だからこそ証人喚問をいったん拒否するなど事態の拡散防止に懸命なんだろう。

◆だいたい、なんにでもひと言あるコイズミさんが、この件ではほとんど口を閉ざしている。唯一、ニュースで目にしたのが
“(建築基準法の罰則について)全体に軽すぎるんじゃないかという気持ちを持っている”
という中学生なみの発言、これだけ(苦笑)、政治家としてなんの識見哲学も感じられない。あるいは、まだ振り付けが出来ていないので、めったなことは云えないと用心しているのかもしれない。もしかして、浅田真央ちゃんのオリンピック出場問題とか朝青龍の優勝と同じような意識~なんでもテレビ向けパフォーマンスになるかどうかで判断しているのかもしれない、いや、まさかそこまではないだろうと思いたいが。
それで相変わらず「改革なくして成長なし」のワンフレーズ連呼である。いま現在多くの国民が抱えている不安心理にはなんのコメントもなく知らぬ顔をしている。
自民党をぶっ壊しますと云いつつ、ニッポンを根こそぎ壊している。稀代のポピュリストに郵政民営化だけで白紙委任してしまったそのつけをこれから払わされる。

by chaotzu | 2005-12-22 22:02 | 時事


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