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マイ・ラスト・ソング

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2006年 01月 08日

医者は神になるべきでない

◆録画しておいた昨夜のNHKスペシャル「日本のがん医療を問うII」をみる。あらためて日本のがん情報体制の立ち遅れを痛感してしまう。なにせ、がん拠点病院の空白県が未だにあるというのだから、治療水準以前のはなしである。情報の収集分析もないまま、個々の医療機関がただやみくもバラバラに取り組んでいる。医師会~地域の医療ボスの既得権擁護と大学医学部の思惑がまずありきになっていて、患者の気持ちは後回しにされている。そして、厚生労働省は無力そのものである。結局のところ、頼りになるのは熱意ある医師の個人的能力だけとなる。これでは百年河清を待つ状態と思わざるを得ない。
番組に出演していた厚生労働省の技術統括審議官、おそらく技官(医師)のトップなんだろうが、云ってることは本省にご意見を伝えますだけである。こんなメッセンジャーボーイだったら、中学生でもできる。情けないはなしだ。

◆セカンド・オビニオンを求めて築地の国立がんセンターまで出向いたはなしは、以前にもエントリーしたが、そのときの説明は「なにも手のうちようがありません」だけだった。一泊2日で出かけた結果は5分もかからなかった。ほんとに簡単なものだった。こちらも動転していたのだろう、もっと食いさがって聞いとくべきであったかもしれないが、応対した医師がそのように判断した根拠背景の説明はなにもなかったのである。
少なくとも、いま現在、これこれの新薬が治験中ですが、効果のほうはまだ検証されておりませんとか、外国ではこんな有効情報があります。個人輸入する方法もあります。ただし、相応のリスクが伴うかもしれません、お金のほうもだいぶかかります。当面はなにもしないという選択肢もあり得ます云々……の補足説明があれば、また受けとめ方も変っていただろうが、ただ気落ちしにいったようなものだった。

◆番組に出演した医者が云う、はっきりしない情報を安易に伝えて患者をリスクにさらすわけにはいかないと(大意)。なるほど、もっともらしい云い分であるが、大半の患者にしてみれば藁をもつかむ思いなのである。こういう小ぎれいな云い方は、医者が自分の勉強不足を糊塗しているようにしかみえない。
なにもせず座して死を待つよりは、1%の可能性でもあればそれにかけてみたい、そう考える患者もきっといるだろう。そういう思いを医者が事前に摘み取ってしまっていいものか。最終の判断は患者自身の価値観に委ねるべきだろう。医者がその前に立ちふさがるのは真に大きなお世話というものだ。

by chaotzu | 2006-01-08 10:48 | 病気


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